2023年の外国為替市場で、円相場は円高・ドル安方向へ推移しそうだ。米国のインフレが一服して連邦準備制度理事会(FRB)による利上げに歯止めがかかり、日本でも日銀総裁の交代に伴って金融緩和が縮小に向かうとの観測が浮上している。市場関係者の多くは日米の金利差が縮小するとみて、22年に急激に進んだ円安が修正されると予想した。
22年はインフレ退治を目的に大幅利上げを繰り返した米国と、大規模金融緩和策を堅持する日本の金利差拡大に注目が集まった。円を売って、高金利で運用に有利なドルを買う動きが活発化。年初に1ドル=115円程度だった円相場は、10月中旬に152円目前と約32年ぶりの安値水準まで暴落した。
急激な円安は物価高に拍車を掛け、政府・日銀は9、10月に円安阻止の為替介入に踏み切った。その後、米インフレが鈍化し、11月からは円高方向に急速な巻き返しが起こった。12月は130円台での取引が続いた。
110円台までの円高進行を予想する声は聞かれなかった。その理由として、三菱UFJ銀行の井野鉄兵チーフアナリストは「日本の貿易赤字に改善の見込みはなく、円の上値を抑える要因となる」との見解を示した。
一方、1年を通じた円相場の下値を、為替介入への警戒感が高まりやすい145円より円安方向に見込んだ市場関係者は6人。日銀の政策修正が市場の予想に反して進まなかったり、米インフレが続いてFRBの利上げが長期化したりと、シナリオが大きく崩れた場合、22年と同程度の安値水準まで下落する場面もあるとの声が聞かれた。
22年の円相場は上下38円強の大幅な値動きだった。上田東短フォレックスの阪井勇蔵営業企画室室長は「23年も比較的大きい値幅で変動するだろう」と予測。日米の金融政策の方向性を巡って外為相場が翻弄(ほんろう)される展開が続きそうだ。
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